高齢者のためのリフォーム
日本家屋と高齢者
日本の木造住宅は畳寸法を基準にしているので、廊下や階段の幅、トイレの大きさもこれにあわせて作られています。
壁の厚みのため、廊下やトイレは78cm程度になり、車いす対応などむずかしい場合があります。
また、古い建物の場合、和室と洋室、洗面室と浴室の間に段差があり、これにつまずいて転倒することもあります。
日本家屋はその風情ある趣や、開放感という良さもありますが、高齢者が快適な生活を送るには、工夫しなければいけない点もあります。
住環境の整備
現在日本では、高齢化が進む中、核家族化や少子化により、家庭内の介護力が低下しています。
これを、介護保険制度や地方自治体による在宅福祉サービスにより支援していますが、全てをカバーできるわけではありません。
そこで、高齢者の自立を助ける、住環境の整備が必要となります。

リフォームの目的
高齢者のためのリフォームは、高齢者の現在の身体機能の状況により、目的が変わります。
大別すると、以下の3項目になります。
- 転倒による怪我を防止する
- 高齢者の自立を助ける
- 介助をしやすくする
1.転倒による怪我の防止
年をとると、筋力と平衡感覚機能が低下し、視力障害などの要因も重なり、転びやすくなります。
高齢者の住居内での転倒などによる事故死が、交通事故を上回るのが現状です。
このことからも、家庭内での予防的リフォームの重要性がわかります。
高齢者が転倒などにより怪我をすることの怖さは、それがきっかけで、身体を動かさない時間が増え、筋力がますます低下し、動脈硬化による心疾患や脳血管障害、骨粗しょう症、認知症といった、別の疾患を起こしやすくなることです。
転倒による怪我の防止とは、その先にある様々な病を防止するということなのです。
2.高齢者の自立を助ける
自立を助けるとは、階段、トイレ、浴室などに手すりを取り付けることにより、介助なしに通常の生活を行えるようにするリフォームです。トイレに手すりをつければ、便座の立ち座りがしやすくなります。
浴室に手すりをつければ、安全に立ち上がったり、移動したり、入浴したりすることが出来ます。
3.介助をしやすくする
例えば車椅子での生活を助けるために、廊下幅を広げる、トイレや浴室を介助出来るように広くするなどのリフォームがあります。
大規模な工事になるので、設計士や建築会社との入念な打ち合わせが必要です。